今日のテーマは自殺についてです。周囲で自殺する人は想像以上に増えてきます。
自分の周りでも、最近では、毎年のように同僚が亡くなっているし、お客さんや取引先でもなんであの人がと思うような方が自ら命を絶ってしまっている状況です。

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フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
 自殺(じさつ、英: suicide)とは自分自身を殺すこと。自害、自死、自決、自尽、自裁、自刃などとも言い、状況や方法で表現が異なる場合がある。
 
 世界保健機関(WHO)によると、世界で2016年時点で約80万人が毎年自殺している。世界の自殺の75%は低中所得国で起こり、自殺は各国において死因の10位以内に入り、特に15 - 29歳の年代では2位になっている(2016年)と報告している。
 
 様々な事情が絡み合って自殺する場合が多い。高所得国における主な理由は精神疾患(特にうつ病とアルコール乱用)であり、ほか金銭的問題、人間関係の悩み、病気による慢性痛などがある。

 WHOは「自殺は、そのほとんどが防ぐことのできる社会的な問題。適切な防止策を打てば自殺が防止できる」として、世界自殺予防戦略を実施している。このようなWHOに準ずる形で、各国で行政・公的機関・NPO・有志の方々による多種多様な自殺予防活動が行われている。


〇日本における自殺の状況

警察庁のホームページより https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html

令和2年の自殺者数は21,081人、男性は11年連続の減少、女性は2年ぶりの増加
令和2年の自殺死亡率は16.7 注)「自殺死亡率」とは、人口10万人当たりの自殺者数をいう。

・自殺の原因・背景について 
自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。 
原因・動機が明らかなもののうち、個々の要因別にみると、その原因・動機が「健康問題」にあるものが10,195人で最も多く、次いで「経 済・生活問題」(3,216人)、「家庭問題」(3,128人)、「勤務問題」(1,918人)の順となっており、この順位は前年と同じである。

・年代別 2020自殺者内訳

自殺者 割合
10代未満 0 0.0%
10代 777 3.7%
20代 2,521 12.0%
30代 2,610 12.4%
40代 3,568 16.9%
50代 3,425 16.2%
60代 2,795 13.3%
70代 3,026 14.4%
80歳以上 2,305 10.9%
不明 54 0.3%
21,081 100.0%


・年代別 2020人口(単位:万人)

人口 人口比率
10代未満 1005.5 7.9%
10代 1135.1 8.9%
20代 1287.6 10.1%
30代 1468.2 11.6%
40代 1875.9 14.8%
50代 1638.6 12.9%
60代 1599.7 12.6%
70代 1591.2 12.5%
80歳以上 1106.3 8.7%
12708.1 100.0%


・年代別 2020自殺者割合数 ※仮に40代と同じ人口の場合

割合数
10代未満 0
10代 1,284
20代 3,673
30代 3,335
40代 3,568
50代 3,921
60代 3,278
70代 3,567
80歳以上 3,908
26,534


・年代別 2020死因割合 (厚生労働省の死者数データ/警察庁の自殺者数データ)

死因自殺 世代死者
10代未満 0.0% 2,285
10代 46.0% 1,690
20代 56.9% 4,429
30代 35.8% 7,293
40代 16.4% 21,778
50代 7.2% 47,307
60代 2.5% 113,434
70代 1.1% 286,164
80歳以上 0.3% 887,727
1,372,107

 自殺者の年代別のデータを基にした表です。自殺者割合では40代~50代が多い傾向にあります。
40代人口に他の世代の人口を合わせた場合だと、50代が多いのには変わりませんが、20代から80代以上まであまり変わらないくらいの比率で高いことが分かります。

 死因別自殺割合で見てみると、圧倒的に10代から30代の割合が高いです。他の指標と比べても異常な数字が出ているのが分かります。特に20代は、死亡者の半数以上は自殺で亡くなってしまっているなんてかなり異常な状態だと思います。

 10代から30代までの自殺では、会社や学校での人間関係に疲れてしまっている人が多いんじゃないでしょうか。40代から80歳以上では、人間関係の疲れももちろんありますが、健康状態だったり、家庭内の原因で自殺されている方が多いのかなというイメージを持ちました。
 
 カトリーヌ・ヴィダルらは、失業時や離婚時に男性の方に負荷が集中しやすいことを指摘しています。失業や離婚をした場合、女性であれば家族や社会の状況に組み込まれて保護されるのに対し、男性は社会的に孤立を余儀なくされると指摘されているようです。
 
 確かに、自分の周りで自殺した方の半数は、離婚して子供を引き取っている男性でした。男性側には、社会的にも支援も少なくなく理解者もなかなか出来づらい環境になっているのかもしれませんね。

nippon.com様のホームページより
先進7カ国+韓国の15~34歳の死因上位3位  自殺の欄の()は自殺率

1位 2位 3位
日本 自殺(16.3) 事故 がん
フランス 事故 自殺(7.9) その他
ドイツ 事故 自殺(7.5) がん
カナダ 事故 自殺(10.6) がん
米国 事故 自殺(14.1) 殺人
英国 事故 自殺(7.4) がん
イタリア 事故 がん 自殺(4.1)
韓国 自殺(16.3) 事故 がん
 出所 : 厚生労働省「自殺対策白書」/フランス2014年、カナダ2013年、それ以外は2015年のデータ


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〇次に自殺を思いとどまった理由を参考にして、なぜ自殺を決断してまったのか理由を考えてみましょう。

自殺についてアンケート調査を行った公益財団法人日本財団によると、以下の要因で自殺を思いとどまったとしている

(1)我慢:自殺を本気で考える時間は、長くて数十分程度とされている。この時間を我慢すれば乗り切ることができる。

(2)家族や恋人、親しい人が悲しむ

(3)将来を楽観視:人生、生きていればなんとかなる

(4)自殺しようとして失敗した:自殺未遂の結果、半身不随や脳障害など、その後の人生に関わる障害になる場合も多い。最悪、自殺も出来ない状態に置かれる。

(5)相談して説得された

統計数理研究所の岡檀は日本で最も自殺の少ない海部町についての研究もしており、自殺が少ない町での以下の5つの特徴を上げている。

(1)人は人でいろんな人がいたほうがよい(多様性を尊重)

(2)人物本位主義で、リーダーは問題解決能力や人柄を重視し、グループを作っても入退会が自由でイジメなどの悪い慣習ができない

(3)自己肯定感が高く、政治参画にも積極的で自分たちで問題を解決しようという意欲がある。(自己有用感と問題解決力がある)

(4)助けを求めよ、病は市に出せ:なにかしら問題があった時は、ほかの人と相談する傾向がみられ、相談した相手も押しつけず人を尊重する。うつ受診率も高く、軽度の段階で受診する。

(5)人と人のつながりが薄い。他人は他人であり、深いつながりは構築せず、淡白で放任主義。困ったらアドバイスなどの過不足のない援助を行う。

 以上の自殺を思いとどまった理由、自殺をしにくくなる環境の2方面から分かることは、自殺しようと思っているときに一人であり周りに相談できる相手がいない。他の人のことを考えることが出来ないほど追い込まれている。などの場合には非常に危険ということが分かります。
 
 自分の所属しているコミュニティー(学校・職場・家庭・グループ等)があまり多様性を認めない集団であったり、今の日本のように職や学校を辞めてしまうと人生終わってしまうような環境にいることも危険です。肉体労働で身体を壊し会社を退職しても、ハローワーク等で、肉体労働の職やスキル習得ばかり斡旋されるようでは再スタートは難しいでしょう。
 
 どんなコミュニティーであれ、気軽に離れることができ、ほとんどデメリットなく再出発さえ出来れば半数くらいは自殺を減らすことが出来るのではないでしょうか。自殺は他の死因と違い、事故や病気等の寿命で亡くなる訳ではありません。これからは身近な人が自殺で亡くなったということがなければ幸いです。


最後まで見てくれてありがとうございました!